テストステロンとは?
役割・低下のサイン・増やす方法

テストステロンは、男性ホルモンの代表とされる物質で、筋肉や骨、性機能だけでなく、意欲や気分といった心の面にも関わるとされています。加齢などで低下すると、さまざまな不調のサインが現れることがあります。この記事では、テストステロンの役割、低下したときのサイン、男性更年期との関係、そして増やすための考え方を、中立的に整理します。

男性ホルモンの代表心身に幅広く関与
加齢で緩やかに低下個人差が大きい
生活習慣+医療対応の両輪
テストステロンが筋肉・骨・性機能・意欲など心身に果たす役割を整理した医学的なイラスト
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このページの位置づけ:男性更年期(LOH症候群)とはEDの原因ED治療とは

このページは、テストステロンの「基礎」をつかむための入口ガイドです。低下による不調の症状チェックは男性更年期(LOH症候群)とはで扱っています。

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結論:テストステロンは心身に幅広く関わるホルモン

テストステロンという言葉を、筋肉や性機能と結びつけて知っている人は多いかもしれません。しかし実際には、その働きは体だけでなく、意欲や気分といった心の面にまで広がっています。だからこそ、テストステロンの低下は、思いがけない不調として現れることがあります。

テストステロンとは、男性ホルモン(アンドロゲン)の代表とされる物質です。おもに精巣でつくられ、筋肉・骨・性機能などの体の働きだけでなく、意欲や気分といった心の面にも関わるとされています。

加齢などで緩やかに低下し、低下すると性欲の変化やED、疲れやすさ、意欲の低下、気分の落ち込み、筋力の低下などのサインが現れることがあります。これらが重なって生活に影響する場合、男性更年期(LOH症候群)と呼ばれる状態が考えられます。

対応は、生活習慣の見直しが土台になり、症状がつらい場合には医療機関での補充療法などが検討されます。症状には個人差があり、ほかの原因のこともあるため、気になる場合は受診して確認することがすすめられます。

出典:日本泌尿器科学会・日本メンズヘルス医学会 関連情報をもとに編集部作成

この記事では、テストステロンの役割、低下のサイン、男性更年期やEDとの関係、そして増やすための考え方までを順に整理します。

テストステロンとは

テストステロンは、男性ホルモン(アンドロゲン)の中でもっとも代表的な物質です。男性ではおもに精巣でつくられ、ごく一部は副腎でも産生されます。なお、女性の体内にも少量存在し、男女ともに健康に関わるホルモンですが、男性では量が多く、男性的な心身の特徴を支える中心的な役割を担っています。

テストステロンは、思春期に急激に増えて、声変わりや体毛、筋肉の発達といった体の変化をもたらします。成人後も、心身の状態を一定に保つために働き続けます。つまりテストステロンは、一時期だけでなく、生涯にわたって男性の健康に関わるホルモンだといえます。

その分泌は、脳(視床下部・下垂体)からの指令によってコントロールされています。脳と精巣が連携して分泌量を調整しており、このしくみのどこかに不調があると、テストステロンの値にも影響が出ることがあります。ストレスや睡眠不足、生活習慣がテストステロンに影響しうるのは、こうした調整のしくみが関わっているためです。

また、テストステロンの分泌量には一日の中でのリズムがあり、一般に朝に高く、夜にかけて下がる傾向があるとされています。そのため、医療機関で値を測定する際は、午前中の採血がすすめられることがあります。こうした変動があることからも、一度の数値だけで一喜一憂するのではなく、症状とあわせて総合的に判断することが大切です。テストステロンは、数値という一面だけでなく、心身の状態という実感を通して捉えるべきホルモンだといえます。

テストステロンの役割

テストステロンの働きは多岐にわたります。代表的な役割を整理すると、次のようになります。

領域主な役割
体(筋骨格)筋肉量・筋力の維持、骨の強さの維持
性機能性欲(リビドー)、勃起など性機能の維持に関与
代謝体脂肪の分布、代謝への関与
心・脳意欲・気分・集中力など精神面への関与
血液赤血球の産生への関与

注目したいのは、テストステロンが「体つき」だけでなく「心の状態」にも関わるとされている点です。意欲がわかない、気分が落ち込む、集中できないといった変化が、ホルモンの低下と関係していることがあります。心の不調を「気の持ちよう」とだけ捉えず、体の状態という視点からも見直す意味は、ここにあります。

テストステロンが筋肉・性機能・代謝・心・血液など心身に果たす役割を領域別に整理した図
テストステロンの役割の整理(CLINIC JAPAN作成)

加齢による低下と個人差

テストステロンは、一般に20代から30代をピークに、加齢とともに緩やかに低下していくとされています。ただし、その低下のしかたには大きな個人差があります。女性の更年期のように急激に下がるのではなく、ゆるやかに、人によって異なるスピードで変化していくのが特徴です。

同じ年齢でも、テストステロンの値は人によってかなり違います。生活習慣・ストレス・睡眠・体格・持病など、さまざまな要因が影響するためです。「年齢が上がれば誰でも同じように下がる」わけではなく、生活のしかたによって維持しやすさが変わる、という点は知っておく価値があります。

また、低下が緩やかなぶん、本人が変化に気づきにくいこともあります。「最近疲れやすい」「気力がわかない」といった不調を、年齢のせいや忙しさのせいと片付けてしまい、ホルモンの変化が背景にあることに気づかないケースもあります。次に挙げるサインは、そうした見落としを防ぐ手がかりになります。

テストステロンの維持を考えるうえでは、「下げない生活」を意識することも役立ちます。慢性的なストレス、睡眠不足、運動不足、肥満、過度の飲酒などは、いずれもテストステロンを下げる方向に働きうるとされています。逆にいえば、これらを避ける生活は、加齢による自然な低下のスピードをゆるやかにする助けになります。年齢そのものは変えられませんが、生活のしかたは選べます。テストステロンを「増やす」発想だけでなく、「不必要に下げない」という視点を持つことが、長く心身の状態を保つうえで現実的なアプローチになります。

低下のサイン

テストステロンが低下すると、心身にさまざまなサインが現れることがあります。代表的なものを、体・心・性機能の3つの面から整理します。

これらのサインは、一つだけでテストステロンの低下と決まるわけではありません。多くは、ほかの病気やストレス、生活習慣でも起こりうるものです。しかし、複数のサインが重なって生活に影響している場合は、テストステロンの低下、ひいては男性更年期(LOH症候群)の可能性を考える手がかりになります。症状のセルフチェックは男性更年期(LOH症候群)とはで詳しく扱っています。

男性更年期(LOH症候群)との関係

テストステロンの低下に伴う心身の不調が、生活に影響するほど現れた状態は、医学的に「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼ばれ、いわゆる男性更年期にあたります。

女性の更年期がよく知られる一方で、男性にも年齢とともにホルモンの変化による不調が起こりうることは、近年になって広く認識されるようになってきました。LOH症候群は、テストステロンの低下と、それに伴う多様な症状(性機能・身体・精神の各面)を特徴とします。診断には、症状の評価に加えて、血液検査によるテストステロン値の確認が用いられます。詳しくは男性更年期(LOH症候群)とはで解説しています。

「年齢のせい」「気の持ちよう」と片付けられがちな中高年の不調の中に、ホルモンの変化が関わっているケースがあります。つらい症状が続く場合は、男性更年期という視点から医療機関に相談することも選択肢になります。

ただし、似た症状はうつ病や甲状腺の病気など、ほかの原因でも起こります。自己判断せず、受診して確認することが大切です。

EDとの関係

テストステロンは性機能にも関わるため、その低下はEDや性欲の低下と関係することがあります。ただし、EDの原因はテストステロンの低下だけではありません。血管や神経の問題(器質性)、心理的な要因(心因性)など、複数の要因が関わるのが一般的です。EDの原因の全体像はEDの原因で整理しています。

そのため、EDがあるからといって、必ずしもテストステロンの補充が必要になるわけではありません。ED治療の中心はPDE5阻害薬であり(ED治療とは)、テストステロンが関わるかどうかは、症状や検査をふまえて医師が判断します。性欲の低下や意欲の低下など、ED以外のサインも重なっている場合は、テストステロンの観点もあわせて相談するとよいでしょう。EDの改善の見込みはEDは治る?改善の可能性でも扱っています。

テストステロンの低下とEDの関係を、性機能・心身のサインとあわせて整理した図
テストステロンとEDの関係(CLINIC JAPAN作成)

増やすための考え方

テストステロンを支える基本は、生活習慣の見直しです。特別なことよりも、日々の積み重ねがホルモンの土台を整えるとされています。

これらは即効性を保証するものではありませんが、テストステロンを維持・サポートする生活の土台になります。一方で、生活習慣の改善だけでは追いつかないほど低下が著しく、症状がつらい場合には、医療機関でテストステロン補充療法などが検討されることもあります。

補充療法は、医師の管理のもとで行われる医療です。適応や効果、リスク(副作用)には個人差があり、誰にでもすすめられるものではありません。とくに、インターネットなどで入手できる海外製のホルモン剤やサプリを自己判断で使うことは、安全性の観点から避けるべきです。テストステロンに関わる対応は、必ず医療機関で相談することが大切です。安全な医療の受け方は安全性ガイドも参考になります。

生活習慣による対応の良いところは、テストステロンを支えるだけでなく、全身の健康にもつながる点です。運動や十分な睡眠、バランスのよい食事は、血管や代謝の状態を整え、結果としてEDや男性更年期の症状の改善にも寄与しうるとされています。つまり、テストステロンを意識した生活は、男性の健康全般を底上げする取り組みでもあります。「ホルモンを増やすこと」だけを目的にするのではなく、健康的な生活の延長線上にテストステロンの維持がある、と捉えると、無理なく続けやすくなります。なお、サプリや健康食品の中には効果を過度にうたうものもありますが、安全性や有効性が確認できないものに頼るより、生活の土台を整えることと、必要なときの医療相談を優先するのが安全です。

受診の目安

次のような場合は、泌尿器科やメンズヘルスを扱う医療機関への相談が選択肢になります。

医療機関では、血液検査でテストステロン値を確認し、症状とあわせて医師が判断します。性機能の変化が中心の場合は、EDの相談とあわせて泌尿器科を受診するとよいでしょう。相談のしかたはカウンセリングガイド、受診先の選び方はクリニックの選び方も参考になります。

まとめると、テストステロンは筋肉や性機能だけでなく、意欲や気分など心身に幅広く関わるホルモンです。加齢で緩やかに低下し、サインが重なって生活に影響する場合は男性更年期の可能性もあります。生活習慣の見直しを土台に、つらい症状が続くときは医療機関で相談することが、適切な対応への第一歩になります。

よくある質問

Q. テストステロンとは何ですか?
テストステロンは、男性ホルモン(アンドロゲン)の代表とされる物質です。おもに精巣でつくられ、筋肉や骨の維持、性機能、体毛などの男性的な体の特徴に関わるほか、意欲や気分といった心の面にも影響するとされています。男性の心身の状態を支える重要なホルモンの一つです。
Q. テストステロンが低下するとどうなりますか?
低下すると、性欲やEDなどの性機能の変化、疲れやすさ・意欲の低下・気分の落ち込み、筋力の低下や体脂肪の増加など、心身にさまざまなサインが現れることがあります。これらが重なって生活に影響する場合、男性更年期(LOH症候群)と呼ばれる状態が考えられ、医療機関での相談対象になります。ただし症状には個人差があり、ほかの原因のこともあるため、自己判断せず受診して確認することがすすめられます。
Q. テストステロンは増やせますか?
生活習慣の見直し(適度な運動・十分な睡眠・バランスのよい食事・ストレス管理など)が、テストステロンを支える土台になるとされています。低下が著しく症状がつらい場合には、医療機関でテストステロン補充療法などが検討されることもあります。生活習慣による対応と医療による対応は、状態に応じて使い分けられます。
Q. テストステロンの低下は何科を受診すればよいですか?
泌尿器科やメンズヘルスを扱う医療機関が相談先になります。血液検査でテストステロン値を確認し、症状とあわせて医師が判断します。性機能の変化が中心の場合は、EDの相談とあわせて泌尿器科を受診するとよいでしょう。

参考・出典

公的資料・学会

医学文献(PubMed)

本記事の内容は一般的な情報提供であり、効果・適応・費用には個人差があります。詳細は医療機関でご確認ください。

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